アップが遅くなり申し訳ありません.去る11月14日(金),川島洋一先生(福井工業大学教授)による講演会「茶室「瑞暉亭」とアスプルンド」が開催されました.
一言で,非常に内容の濃い一夜でした.
一般的にアールトを始め,北欧の建築家は自らの建築論をあまり語りたがりません.そこが魅力でもあるのですが,川島先生はその膨大な資料調査と時代考証によって巨匠アスプルンドの素顔と建築の裏側に流れる哲学について深く迫ってゆきます.
アスプルンドがおそらく生涯で唯一,自らの建築論を語ったとされる王立工科大学の教授就任講演.そこでアスプルンドが語った理想とする建築とは,日本建築を模範とするものであったという事実.またアスプルンドは建築を解体し,再構築する手がかりとして,日本建築の可変的な空間に目を付けたといった記録には本当に目から鱗で驚かされました.
また日本-スウェーデンの友好の証として建てられた茶室「瑞暉亭」ができるまでの背景や,人間模様など,まさに時代が目の前で展開されてゆくかのような息を呑む講演で,自分が日本人であることに誇りを感じた聴講者も多かったのではないでしょうか.
デザインの美しさや楽しさを伝える講演と同様に,このように時代の裏側を探る時代考証的な講演も本当に意義深く,我々をわくわくさせてくれます.講演が終わる頃にはアスプルンドを見る目がすっかり変わってしまいました.
川島先生,素晴らしい講演をどうもありがとうございました!
(担当:関本)