<SADI記念講演>
益子義弘氏 『それぞれの風土と空間の根~世界の住まい環境を測る』
2008/6/21 15:30~ 工学院大学20階第6会議室
去る6月21日,2007年度の定例総会を今年も滞りなく終了することができました.
会員の皆様のご協力に心より感謝致します.本年度も魅力的な企画や活動を,皆様と共に盛り上げてゆきたいと思います.本年度も当協会をどうかよろしくお願いします.
さて,定例総会の後は当会理事でもある益子義弘先生による記念講演が行われました.
テーマは
『それぞれの風土と空間の根~世界の住まい環境を測る』
ご存じの方も多いと思いますが,益子先生は東京藝大在任中より学生さん達と共に,世界中の民家や,風土気候から生まれた住まいの形態について実測調査を続けてらっしゃいました.講演ではその成果の一部であるイランの砂漠地帯の民家や,ペルー・チチカカ湖の葦草の家,またフィンランドのピエン・トイヨラ農場などの例を豊富な写真やエピソードを交えて紹介してくださいました.
何といっても,机上の研究ではなく実際に現地を歩いた実体験に基づくお話しには有無を言わせぬ説得力があり,思わず引き込まれてしまいました.紹介下さったペルー・チチカカ湖の集落は,なんと島全体が葦でできており湖に浮かんでいるのだとか.葦で編まれた奇怪な(?)造形物と共に,おとぎの国のような幻想的な光景です.
これらは一例ですが,あらゆる気候風土にあわせてこの世にはまだまだ我々の想像を絶するような住居形態があることに驚きと感動を覚えました.


最後はフィンランドの伝統的なログ農場の事例をご紹介してくださいましたが,今回は益子先生のお話を聞くのにはあまりに時間が少なかったようです.次回は先生の北欧やフィンランド建築に持っておられる所感やお考えについてもじっくりお話し頂く機会を持ちたいと思います.今後の企画にどうかご期待下さい!
<文責・関本>