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2019年 10月 16日
『北欧のテキスタイルデザインと私』 講師:鈴木マサル氏 (テキスタイルデザイナー) 日時:2019年10月15日(火) 18:30~21:00 会場:東京大学農学部弥生講堂アネックス・セイホクギャラリー ◇ 昨晩はSADI定例講演として、テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんをお招きしてご講演を頂きました。鈴木マサルさんはご自身のファブリックブランド OTTAIPNU(オッタイピイヌ)を主宰され、国内のみならずマリメッコやラプアン・カンクリといった北欧のブランドともコラボレーションをされ、毎年多くの作品を発表されておられます。 冒頭に鈴木さんは、どうして北欧(フィンランド)のファブリックはかくもカラフルで大柄なデザインが多いのかという点について、マリメッコの代表的なテキスタイルパターンである「ウニッコ」を引き合いに出されて解説して下さいました。それは1950年代のポップアートの流れと無縁ではないのではないかとのことで、ウニッコと同じく1964年に発表されたアンディ・ウォーホルの「フラワーズ」と名付けられたカラフルなポップアートとの類似点も指摘されていました。 マリメッコ以前のフィンランドのテキスタイルは、必ずしもカラフルではなく、むしろ地味な色調でデザインの系統も全く異なるものであったようです。マリメッコといえば若い女性を中心に大変人気があり、今や北欧デザインのアイコンともなっていますが、そんなマリメッコに多大な影響を与えたと思われる50~60年代のポップアートの影響力や、その流行を敏感に取り入れたマリメッコ創業者のアルミ・ラティア、そしてマイヤ・イソラの先見性は素晴らしいものであったとあらためて感じました。 また個人的には、あの大胆なパターンの生地はどうやって使うのだろう?というのがずっと素朴にあった疑問でしたが、鈴木さんもまたそんな素朴な疑問をそのまま口にされておられました。北欧デザインといえば、アールトのように合理的かつ機能的な空間やデザインを思い浮かべますが、テキスタイルに関しては、必ずしも機能的ではない、むしろ使い勝手を制約するようなデザインであることなども指摘されておられました。 ◇ 後半には鈴木さんご自身の仕事をご紹介下さいましたが、ご自身のお仕事のキャリアも万人受けするような無地のカーテンデザインの世界から始まり、その反動からマリメッコのようにカラフルで、その生地をどうやって使うのか、ご自身でさえ想像がつかないようなデザインへと向かっていった経緯なども語って下さいました。 念願であったマリメッコとの協働とその裏側のお話しも大変興味深く、またアルフレックスとの協働で提案された色の洪水のようなファブリックパターンにも驚かされ、それが実際に完売したという事実にもまたびっくりでした。 氏のデザインは自由そのもので、予定調和を破り、それを使う人に挑戦状を突きつけるようなデザインとも言えるかもしれません。ご自身のデザインされた人気の傘のシリーズも「こんな派手な傘、さすのに勇気が要るでしょう?」といたずらっぽく笑っておられました。「こういう色の付いたものを選ぶのは勇気なんです。でもそれを自ら選んで身につけることで気持ちが前向きになり、何かが変わると思うんです」とおっしゃられていたのがとても印象的でした。 北欧デザインというとシンプルで、生活に寄り添ってくれる”優しいデザイン”であると我々は認識しているかもしれません。マリメッコも「かわいい」という言葉で括られてしまいがちです。そころがその裏側にある「自由」への希求と、それを積極的に身につけて生活を豊かに彩っていこうとする北欧の人たちの精神には、けして与えてもらうだけではなく、自分たちで生活をつくり出してゆこうとする熱い情熱があるような気がしました。 色って自由の象徴なんだ、もっと我々は自由に暮らして良いんだ、という勇気をもらった講演でした。我々は知らぬ間にいろんなものに縛られていることにも気付かされました。デザインとは自由そのものなんですね。 鈴木マサルさん、素晴らしいお話しをありがとうございました! 文:関本竜太(SADI企画委員長)
by sadiinfo
| 2019-10-16 19:24
| 講演レポート
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