『デンマーク建築の最新情報』～小野寺綾子さんを囲んで

『デンマーク建築の最新情報』～小野寺綾子さんを囲んで
日 時：２０１５年７月１８日（土）１８：００～２０：００
場 所：喫茶室ルノアール　新宿西口エステックビル店

デンマーク在住のSADI海外会員・小野寺綾子さんが一時帰国中でこの機会にスペシャルイヴェントとしてSADI会員のために『デンマーク建築の最新情報』のお話を伺いました。小野寺さんはSADIのホームページの『北欧トッピックス』にデンマーク情報を４４回も投稿されています。今回はその情報を背景にデンマークの最新情報を　お話していただきました。

参加者は理事５名・会員３名・非会員２名でしたが、昨年秋以来事故で自宅療養中の吉村さんが参加され、元気な姿を見て大変嬉しく思いました。小野寺さんの話は多岐にわたりましたがその中で主要なものは下記の内容です。

◇PHランプで有名なポール・へニングセン自邸は１９３７年に建てられモダニズムの姿を残しているが、開口部は１枚ガラスでスチールサッシの為腐食が進み取り換える必要がある。設備備品も古いので内装を含めて全体的に省エネのための改修計画が進められている。

◇チボリ公園の前に５つの円搭形の商業ビルが出来るが、SASのホテルよりは高くならない。コペンハーゲンの中央駅に近く中心市街地の景観に大きな影響を与えることになる。

◇クリスチャンスハウンに建てられた4棟のアパート。この場所は、過去にオランダの建築家による高層アパートの計画があったが、住民の猛反対にあって挫折した。周辺の景観が大きく変化すため、計画段階ではかなりの時間をかけて市民を交えての論争が繰り返された。

◇北欧を代表する家具・照明・食器などの製品は世界的なマーケットの中で歴史の古い制作会社が買収 され、デザインや製品にも大きな影響を与えている。島崎先生の話によると、１９５０年以降は新しい製品は生まれずデザイン的には不毛の時代に入っているとのことでした。

◇デンマークを代表するビール工場の跡地、カールスベア工場の再開発は、長期間に渡り、古い建物の　　外観は残して内部の改修工事が大規模な再開発として行われている。学校や大学など教育施設の他 オフイスやギャラリーなども計画され、新しく開発される環境に多くの注目を集めている。

◇今年１０月７日からデザインミゼウム（旧工芸美術館）で『デンマークのデザインが日本の芸術から影響』という、日本の芸術から影響を受けたデンマークのデザインを比較したジャポニズムの展覧会が始まる。展覧会は一年半開催される予定である。この展覧会は、同題名の本を書いた同美術館の研究員の本が基になっている。

今回は参加者数が確定出来ずルノアールの店舗内で行いましたが、次回開催が出来れば個室を借りて落ち着いた場にしたいと思います。　

（文：　筒井英雄）