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2011年 11月 21日
SADI定例講演会「スウェーデン家具修行の10年」 講師:須藤生氏(IKURU DESIGN代表・家具デザイナー) 日時:2011年11月4日(金) 18:30~21:00 会場:東京大学弥生講堂アネックス・セイホクギャラリー 今回の定例講演会は,スウェーデンで家具職人修行より帰国され,那須に工房を開かれた須藤生さんをお迎えし,10年に渡るスウェーデン家具修行時代の貴重なお話を頂きました.本講演会は本来,今年の3月に開催する予定でおりましたが,先の震災の影響によりやむなく中止とさせて頂き,その後皆様からのご要望にお応えして今回ふたたび開催の機会を得ることができたものです.開催にあたっては,須藤氏をはじめ関係者の皆様のご協力を頂きました.この場をお借りして心より御礼申し上げます. 須藤氏のお話はスウェーデンに渡ることになったきっかけからはじまり,現地の学校での職人修業,そして帰国後のプロジェクトに至るまでを縦断して,終始わかりやすい言葉とビジュアルを駆使してお話し下さいました. 須藤氏は2000年,スウェーデンの国民的家具デザイナー,カール・マルムステン氏が設立した家具職人学校,カペラゴーデン校に当時唯一の日本人として入学されました.その後はストックホルムのマルムステン校にも学び,その後に受けた職人試験ではカメラ「ハッセルブラッド」の収納ケースの製作で高評価を受け,見事スウェーデンの家具職人資格を取得されました. スウェーデンの学校での教育方針は,一貫して「経験よりも個を重視する」というものだったようです.つまり日本の職人の徒弟制や学校では,道具の使い方や基本技術の習得により時間を割くのに対し,カペラゴーデンではいきなり物を作らせ,その中で必要な技術を身につけさせるといった,より実践的な教育課程であったとのこと. 前者の基礎からはじまる“下積み”と呼ばれるプロセスは我々にとっては馴染み深いものではありますが,高いモチベーションを持って門を叩いてくる若者にとっては,ある意味物足りない,フラストレーションのたまるプロセスとも言えるかもしれません. 須藤氏はそんな実践的なスウェーデンの教育課程の中で,より上を目指し,より高度な技術が要求される家具製作を自らに課して,自らの技術を高めていかれたようです. 現地の学校の様子でもうひとつ感心させられたのは,その素晴らしい環境と設備です. 往々にして,大学の設備といえば時代遅れの機材が並ぶことが多い中で,スウェーデンの学校では最新鋭の機材を取りそろえ,作業性はもちろん,安全にも最大限の配慮がなされているとのこと.また豊かな自然に囲まれたキャンパスの中で,染色など他の課程を学ぶ学生との交流もまた魅力的で,その教育環境にも大変感銘を受けました. 須藤氏によると,現地の学生の気質も自己表現力が強く,必ず自分の意見を持って主張するとのこと.ディスカッションでも必ず意見を求められるので気が抜けないともおっしゃっていましたが,そのような環境の中で自己を磨き,自らの考えと強い意志を持って創作にあたる日々は,デザイナーにとってはその礎を作ることにもなるのでしょう. また他にも合板自体を製作したり,機材を使わず無垢の木を自らの手でくりぬき製作を行うなどのユニークな課程も多く,規格品や機材だけに頼らない本質的なもの作りの教育も実践されているようでした. 須藤氏は,帰国後は那須にその居とアトリエを構え,スウェーデンで学んだ多くの技術や知識,そしてそのスピリットを持って創作を続けていらっしゃいます.中でも庵治石を使ったスピーカー製作の話からは,与えられた仕事の中でもその可能性を追求し,クライアントに要求された以上の品質を,デザインの力で応えようとする姿勢が伝わってきました. スウェーデン修行の経歴から,自身の現在の作品も北欧家具としての文脈で語られがちとのことでしたが,自身は“北欧家具”を作っているのではなく“IKURU DESIGN”を作っているのだと力強く語っていたのが印象的でした.須藤生さんの今後日本での益々のご活躍をお祈りしております. (文責:企画委員 関本竜太)
by sadiinfo
| 2011-11-21 19:50
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