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2011年 07月 28日
テーマ1:「アントン・ローセンとルウベンボウ」 講師:スヴェン・M・ヴァス氏(デンマーク人・建築家) テーマ2:「ウッツォンのキンゴーハウスに暮らして」 講師:小野寺綾子氏(当協会海外会員) 日時:2011年7月16日(土) 14:00~18:00 場所:東京芸術大学・赤れんが1号館 今回はデンマーク特別レクチャーということで,デンマークより講師2名をお招きし,会場も今回使用は初めてとなる東京芸術大学・赤れんが1号館を使っての講演会となりました.赤れんが1号館は芸大キャンパス内にあり1880年竣工の旧い建物ですが,2005年に耐震補強工事を実施し,同大学の交流施設として現在は使われています. 赤れんが1号館 まず最初の講演は,スヴェン・M・ヴァスさんによる「アントン・ローセンとルウベベンボウ」について.アントン・ローセン(Anton Rosen 1859-1928)というのはデンマークの建築家で,生前はさほど注目を集めた建築家ではなかったようですが,近年に再評価が高まっている建築家のひとりです. ルウベンボウ 講演ではローセンが設計した建築のひとつ,ルウベンボウ(Loevenborg 1907年竣工)を中心としたお話しを頂きました.ルウベンボウは直訳するとライオン(Loeven)の城(Borg)となるそうですが,それはその建物の脇に建てられていたLoevenという居酒屋と関係があるのではないかと,推測を交えて説明されていました. ルウベンボウの建物としての主要用途としては,わかりやすく日本的に言えば商業ビル,あるいは”雑居ビル”ということになるのでしょうか.歴史の中でそこは洋品店や映画館,ホテルなど多用途に渡る使い方をされてきたようです. ルウベンボウが注目を集めている主な要因,特徴としてはデンマークではじめてのカーテンウォール構造を取り入れた建物であり,一方でローセンの建築の特徴でもある美しい装飾の数々も随所に見られる点などでしょうか.ただ長い歴史の中では,その美しい装飾のいくつかは破壊され,意図していなかった姿となってしまっているようです. またローセン自身はクライアントとの確執などもあり,竣工当時よりあまりその建物を気に入っていなかったようだとのお話しもありました.随所のディテールも,ローセン自身によるものというよりスタッフが中心となって進めた部分もあったようです. この辺はローセンが”巨匠”である所以なのかもしれませんが,後年の再評価を彼は今あの世からどう見ているでしょうか.竣工後100年を経た今,少なくとも日本でこのような形で建物が紹介されようとは想像していなかったことかもしれません. ******* 第二部となる後半のレクチャーでは,当協会海外会員(在デンマーク)である小野寺綾子さんよりお話しを頂きました.小野寺さんはデンマークを代表する建築家のひとりであるヨーン・ウッツォンの代表作,キンゴーハウス(1958-1960年竣工/現地の呼び名ではローマハウス.小野寺さんの呼び方にならって以下 「ローマハウス」 と記します)にお住まいという大変羨ましいお方です. ローマハウス外観 この日は小野寺さんご自身がローマハウスにお住まいになっての感想や,住民とのふれあい,キンゴー建設にまつわるあれこれを沢山の美しい写真と共に紹介してくださいました. ローマハウスはもともと低賃金の労働者向けの住宅で,そのため仕上げなども質素な造りとなっています.ローマハウスというネーミングは,もともと不動産会社が”ローマ風の住宅”ということで名付けたようです. ローマハウスの特徴のひとつである,中庭を囲む塀のデコボコした形状も,元はレンガ積み工事のコストダウンのために施した手法であったとのこと.またシルエットから突出した”塔”は煙突で,現在は使われていないようですが,そうした問題解決のためのデザインがかえって生き生きとした表情をこの住宅に与えていることに深い共感と感銘を覚えました. 今ではこの住宅には指定文化財(1987年)の指定がかけられ,国によって大切にウッツォンのオリジナルデザインが守られているそうです.ただ住民である小野寺さんによれば,文化財指定を受けたことで逆にペアガラスが禁止になったり,自由に煙突を設けられなくなったりと,不便を強いられることもあるのだとか. 内部の様子 それでも住民は皆それを承知の上で,この美しい住宅を大切に使っているようです.ちなみに,このウッツォンのローマハウス,購入するとすれば一番安い住宅(あまり手入れがされていない住宅)で3000万円くらいからだそうです(通常は4000~5000万くらいだとか). 築50年を越える住宅として考えれば安くないのかもしれませんが,これがウッツォンの設計した文化財クラスの住宅だとすればけして高くはないのかもしれません.(ちなみにヤコブセン設計のソーホルムの住宅は2億!近くもするそうです) 住民同士の交流 建築家の作品を”文化財”として保護する国の姿勢,そしてそれを理解して大切に愛着を持って住むデンマーク人の意識の高さに,あらためて尊敬の念を持ちました. ヴァスさん,そして小野寺さん.今回は大変貴重なお話しをどうもありがとうございました! またの来日の際にも,どうかお話しを聞かせて下さい. 懇親会の様子 (文責:企画担当 関本竜太)
by sadiinfo
| 2011-07-28 09:37
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