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2011年 06月 06日
講師:イェンス・イェンセン氏(デンマーク大使館 文化・報道・広報担当官) 日時:2011年5月20日(金) 場所:東京大学弥生講堂アネックス・講義室 新年度がはじまり第1回目の講演会が、5/20(金)に東京大学アネックスにて行われました。今回はデンマーク大使館にて文化・報道・広報を担当されているイェンス・イェンセンさんを講師にお迎えし、ご自身で活動されているデンマーク式家庭菜園(コロニヘーヴ)についてのお話を伺いました。 イェンセンさんはデンマークの建築やデザインにも明るい方ですが、料理やライフスタイルといった北欧人としての自然観や生活観ついて、ご自身の活動を通して実践されていることがとても興味深く、今回はデザインや建築そのものというより、ライフスタイルを中心に講演をしていただくことで、今までとは違うアプローチを試みたいと思いました。 コロニヘーヴとは? コロニヘーヴはデンマーク語でコロニー(集合)、ヘーヴ(庭)が掛け合わされてできた言葉で「お庭のコミュニティ」という意味です。都会に暮らす人々が、週末の余暇を過ごすための場所であり、野菜や植物を育てたり、芝生やりんごの木植えて庭を楽しむなど、使い方は人それぞれ。日常生活の中で、自然と触れ合う時間を大切にするデンマーク人にとってコロニヘーヴは大切な意味を持っています。 デンマークのコロニヘーヴ デンマークではコロニヘーヴの歴史は古く、貧しい人々のための農地として市が土地を貸し出すことからはじまり、コロニヘーヴ法という法律も存在します。別荘としての使用はできませんが、使用目的を菜園とすることで料金も格安で借りることができます。土地は市から提供されますが、小屋の売買は可能です。今では人気がある場所は何年も空き待ち・・ということもあるようです。 小屋つきの庭 芝生の中に生えているリンゴの木 例えば、コペンハーゲンから約1時間程度の距離にコロニヘーヴ団地があります。1区画約400㎡程度の土地に40㎡程度の小屋が付いています。「小屋付家庭菜園」なので、あくまで主役は「庭」であり、小屋はおまけです。小屋はダイニングキッチンと寝室がついている程度のシンプルな空間が多く、5月~10月は小屋に宿泊することも可能で、家族みんなで週末を過ごすこともできます。小屋はもともとあったものをそのまま使う人もいれば、自分でDIYしながら手を入れることも楽しみの1つ。若い建築家はこの小さな小屋をデザインすることを最初の仕事にすることもあるのだとか。 宿泊するための生活道具。内装や棚などはDIYでつくるのも楽しみの1つ 週末を過ごすための小さな楽園。そこでは人と人のふれあい(ヒュッゲ)が自然に生まれ、同じコロニヘーヴの仲間同士親しくなることも多いようです。九州よりも小さなデンマークの国土。コペンハーゲンにはアパート暮らしの人が多く、庭のある生活を望むことは難しいのが現実です。都会の住宅事情の中で、郊外の庭に心の拠り所を見出すこのシステムはデンマーク人の生活観や自然観をよく表しているような気がします。 江之浦コロニヘーヴプロジェクト イエンセンさんは2007年から神奈川県の江之浦にコロニヘーヴをつくるプロジェクトをはじめています。江之浦はかつてみかんの産地として名を馳せた場所でしたが、オレンジの自由化によって今はみかん畑としての機能は失われています。イェンセンさんは荒地になっていたこの土地を借りてコロニヘーヴをつくりはじめました。 地主の高橋さんはイェンセンさんの活動の最大の理解者で、仲間内では大王様というあだ名がついているほど。イェンセンさんの活動は雑誌やTVなどにも紹介され、今では江之浦コロニヘーヴに興味のある人々が日本全国から訪れるようになり、その活動の輪が広がっています。 江之浦コロニヘーヴにある小屋 横にはピザの窯もあります 敷地内にある15㎡ロフト付きの小屋はイェンセンさんの手作り。屋根には屋上緑化を施し、電気やガスはありません。興味深いのは小屋の内装につかっているのはみかん箱の廃材。土地の倉庫に眠っていた大量のみかんの箱を再利用し、資源を無駄にせず、この土地の持つ歴史へのオマージュとしてあえて手間をかけた内装を施すことにしたそうです。江之浦のコロニヘーヴにはそんな物語がたくさんあります。 小屋の内装はみかん箱を再利用してDIYで貼ったもの 地域の活性化を目指して イェンセンさんはコロニヘーヴをつくることで、地域の活性化ができないものかと考えています。2010年には日本コロニヘーヴ協会を立ち上げ、社会活動としての基盤づくりをはじめました。地方の過疎化が進む中、都会にいる人々を地方に呼ぶしかけをつくることで、その土地のよさを生かした再生構想は地域活性化運動の1つの可能性を示しています。週末に都会の人がやってきてくれることが荒地を再生するきっかけになる。これからのイェンセンさんの活動に期待したいものです。 デンマークのエネルギー政策 この講演会を企画している最中に起きた東日本大震災。この歴史的災害は私たちの日常生活に大きな影響を与えています。特に原発の問題はこれから世界のエネルギー問題を考える上で重要なテーマの1つです。今回北欧ライフスタイルを学ぶテーマの中で、臨時ではありますがイェンセンさんからデンマークのエネルギー政策についてのお話を伺うことができました。 母国のデンマークでは2020年までエネルギーの60%をクリーンエネルギーとし、2050年には100%まで引き上げる構想がはじまっているそうです。ただエネルギー問題を語る上で最も大切なことはそれを使う人間の意識です。今までの便利な暮らしとエネルギーの関係を再度見直してみることもこれからは必要なことなのかもしれません。「日本は何処に行っても照明が明るすぎますね!」イェンセンさんのこんな言葉がとても印象に残りました。 講演会はイェンセンさんの気さくなお話が幸いして、会場からはたくさんの人から質問や意見があがり、イェンセンさんとの対話するようなかたちで進んでいきました。まるでイェンセンさんの家に来てお話を聞いているようなそんなリラックスした雰囲気があり、講演会終了後の懇親会でも話題が尽きることがなく、とても楽しい会になったと思います。 今回の企画を通して、北欧の建築・デザイン、また暮らしに対する考え方を学びながら、今の時代に必要な情報を会員に向けて発信していくことがこれから益々大切であることを認識できたような気がします。イェンス・イェンセンさん、本当にありがとうございました! イェンス・イェンセンさんの活動はこちらのホームページでご覧いただけます。 日本コロニヘーヴ協会 http://www.kolonihave.com/ Tak for mad ! 北欧ライフ http://takformadblog.blogspot.com/ (文責:企画担当 坪井当貴)
by sadiinfo
| 2011-06-06 09:11
| 講演会
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