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2011年 02月 11日
座談会「北欧デザインの根を考える/フィンランド編」 パネリスト:沼尻良氏(OJM STUDIO主宰・当協会理事) 進行役:益子義弘氏(東京芸術大学名誉教授・当協会理事) 2011年1月28日(金)東京大学弥生講堂アネックス・研究棟講義室 ここ数年協会内で温めてきた企画として,各々が持つ北欧観を披瀝しあい,北欧デザインに惹かれる根の部分とは何かを掘り下げようとする試みの一つ,「北欧デザインの根を考える」をテーマに座談会が開催された.第一回目のパネリストには当協会理事で,自身フィンランド・タンペレ工科大学への留学経験を持つ沼尻良氏(当協会理事)を迎えた. 氏の話はまず自身がフィンランド留学を目指した当時の時代背景に触れ,「人は行き詰まると北を目指す」と当協会の記念講演で内藤廣氏が発言された言葉を引きながら,自身の当時の「北」に対する憧れや郷愁について語った. アールトについては,氏は若い頃は「正直よくわからなかった」という.それは経験と共に理解が深まり共感を増してゆくものなのかもしれないとし,アールトをはじめとしたフィンランドデザインは,建築をはじめ人生の機微を経験しないとその土台は理解できないのではないかと語った. フィンランド建築・デザインを理解するための手がかりとして,以下いくつかのキーワードを用いて説明した. ・自然・風土性 とにかくフィンランドの建築・デザインは,その豊かな自然と切り離すことはできない. フィンランドの建築家は,建築やデザインの手がかりのほとんどを自然と結びつけている. ・国民性 シャイで無口.無骨,素朴,気取らない性格などは日本人の性質にも似ている. ただ一方で,孤独を偏愛する国民性などは日本人とはある意味対照的とも言える. 等間隔に距離を保って バスを待つフィンランド人 また,建築家セヴェリ・ブロムステッド氏が語った言葉として「ユンティ(Juntti・フィンランド語で,洗練されていない,田舎者などの意味)」という言葉にフィンランド建築・デザインの本質が隠されているのではないか,といったエピソードを披露した. ・簡素の美 シンプルな簡素の美を尊び,装飾を嫌う性質は日本人の感性にも通じるものがある. フィンランドデザインは,徹底して合理化した実用のデザインでもある. ・無意識性 養老孟司氏の「日本は無意識から始まった文化」であるとの言葉を引き,同様にフィンランド文化も無意識によって形成されているのではないかと語った.フィンランドのデザインは言葉で明確な説明はできず,デザインや行動も直感的である. ・無宗教的 直感によって率直な行動をする.宗教観に縛られないところは日本にも通じる.日本と同様,自然の中に神が宿るとした無意識的な宗教観があるのではないか. ・現実的(リアリティ) 現実に建たなくては意味がない.カイ・フランクもリアリティを重視し,アールトもまた「デザインするな.解決しろ」という意味の言葉を残している. ・木との関係 フィンランドには何でも木で作る文化があり,食器やカトラリなども木で作ってきた.建築の例では,ペタヤベシの木造教会などはシャンデリアすらも木で作られていた. 上記以外にも氏の細やかな観察眼から,多くのフィンランドを理解するためのヒントや楽しいエピソードの数々が語られ,提示されたキーワードの多くは同じくフィンランド建築・デザインを愛する筆者の私感とも重なり,深く共感を覚えるものだった. 冒頭で沼尻氏が,フィンランドデザインを言葉で説明するのは難しいと語ったとおり,今回のテーマを噛み砕き,聴衆にいかに伝えるかについては氏も相当苦労をされたようだ.ただひとつのキーワードで「フィンランドは○○である」と括ることができないところが,フィンランドという国の懐の深さであり魅力なのかもしれない. 今回は座談会形式ということで,会場からもそれぞれのフィンランドに対する思いや意見などが出された.そこでは皆同じようにフィンランドという国やアールトに対する愛着を抱きながら,各個人の受け止め方や解釈にはまた微妙に温度差があり,十人十色のフィンランド像があるのだということも実感させられた. そしてそれはもちろん他の北欧諸国についても同じことが言えるだろう.今後も協会として,今回のフィンランド編の続編も含め,北欧各国のデザインの根を考える試みとして継続してこの企画をシリーズ化していきたいと思う. 進行役の益子義弘氏 会場からも活発に発言が飛び出した (文責:企画担当 関本竜太)
by sadiinfo
| 2011-02-11 10:11
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