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2010年 11月 30日
定例講演会「スウェーデンの居住環境計画」 講師:小川信子氏(日本女子大学名誉教授・工学博士・当協会会員) 2010年11月19日(金)東京大学農学部7号館114+115教室 小川さんは1986年〜87年、2003年05年の2回にわたり、スウェーデン王立工科大学の客員研究員としてスウェーデンの居住環境の調査・研究を行ない現在もなお続けておられます。当協会では既に2回にわたり講演をしていただいておりますが、昨年日本生活学会サマーセミナー「福祉の街・フィリップスタッド訪問」を団長として実施されておられます。今回は私達の熱望に応えて、それらの資料をもとに、表題の講演をしていただきました。 先ず「はじめに」と題して、世界の最先端を行く福祉政策をさらに進めている最近の地域環境整備について「高齢者の生活環境の変化を居住計画と連動させる。2009年7月1日、家族、親族介護支援をコミューンの義務とする社会サービス法の条項が施行されたが、それは1999年のコミューンに対する奨励条項として同法に新しく加えられた。」このことでさらに環境が充実されていると述べられ、1.高齢者への対応、2.フィリップスタッド市の例、3.リンショッピング市ストールプリッカン共同住宅における新しいコミュニティのはじまり、そして4.「おわりに」として持続可能な社会を構築するために、都市計画・地域計画において住民が必要とする諸施設の充実など、住民との接点で考察がすすめられていると結ばれ、貴重な映像と図面入りの講演要旨をもとに2時間にわたり、お話をいただきました。 「高齢者への対応」では、これまでの100年にわたる福祉政策の蓄積を年代により分りやすく俯瞰して、20世紀初頭の施設中心、自宅での親介護からはじまり、1950年代のコミューンによる要介護高齢者の自宅介護、1980年代の経済不況時の苦難、1990年代エーデル改革により、家族・親族介護及びインフォーマルケアに再び注目。2000年に入り特別な住宅の居住者は次第に減少、高齢者住宅のケアから在宅ケアへのシフトが見られるとともに在宅ケアが家族・親族介護への支援と組み合わされるようになった。ホームヘルパーサービスを受けている高齢者は2006年には1000人中89人にのぼっている。 家族介護が見直される背景には家族に対するケアの充実が十分に配慮され、我が国における福祉政策の致命的な欠陥に対して、成熟したスウェーデンの福祉政策の充実ぶりの原点として特に力を入れて指摘されました。その典型的な実践例として推賞されている自治体としてスウェーデン社会の発展に寄与した「エリクソン兄弟」の出身地でもある「フィリップスタッド市の例」をあげ詳しく解説されました。 社会サービス法をうけて、市の責任としては助けを求めた人のための法律、命に危険がおよぶような状況を除き自己決定権を尊重、これらを基本にした支援対象、支援内容ついてはその気配りの充実さに驚かされました。実現には程遠いものの、我が国における福祉政策の理想像としての存在感をじっくりと感じさせるものがありました。 次に「リンショッピング市スト−ルプリッカン共同住宅」の例では、省エネ型住宅建設を目指して1977年から住民の要求からはじまり、1980年に市に近い共同住宅建設会社により建設され、現在まで住民代表6名をトップに公営住宅会社、市社会福祉部、借家人組合の代表それぞれの2名づつからなる運営委員会によって運営され、住民本意の充実された生活が実現されているとのこと、1986年に訪問してから既に24年が過ぎている現在も美しく使っており、住民も成長している実情を数々の映像により解説されました。 運営方針の中で「ケアつきの住宅を孤立させない。廊下を共有スペースとして、触れあいの場をつくっている」その実例として廊下の壁に優雅な絵が描かれている状景、行き止まりの壁になお先へ続く廊下がユーモラスに、しかも繊細なパースで絵描かれており、いかにも豊かな雰囲気を醸し出している情景は誠に印象的でした。 行き止まりの壁に描かれた廊下の絵 「おわりに」のところでは、マルメ市の超近代的ビル建設の中でも建設的な住宅建築が続いている例や、中層の木造建築による画期的例など刺激的な映像と解説を付け加えられ、最後に、安らぎの象徴としてアスプルンドの森の墓地の映像で講演を終りました。 今回は小川さんの親しい研究仲間の方々をはじめ熱心な地域行政研究の方々も多く見え、成熟したスウェーデンの居住環境の実体に溜息まじりの声が出ていました。当然、質問も日本との大きな落差と、その差を埋める方策に集中され、熱気のある雰囲気のなか恒例の懇親会に引き継がれ、会を終了いたしました。 木造の高齢者住宅 森の墓地のスライドで終了 (文責 企画担当 川上 信二)
by sadiinfo
| 2010-11-30 08:20
| 講演会
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