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2010年 10月 25日
![]() 定例講演会「Artek 75 years 1935-2010 –Art & Tech Forever」 講師:アンニ・アイリンピエティ氏[Anni Ailinpieti](アルテック・ジャパン代表) 2010年10月15日(金)東京大学弥生講堂アネックス・研究棟講義室 アールトの家具を主に手がけてきたフィンランドのアルテック社は、本講義のまさにその日に、設立75周年を迎えました。そこで、アルテック日本法人代表のアンニ・アイリンピエティ氏をお迎えし、アルテック75年の歴史やエピソードなど、興味深い話をいただきました。 1935年10月15日、アルテック創設 当時、フィンランドは、ロシアから独立して20年弱。まだ人々の気持ちの中にはロシア時代から抜けきれず、社会主義を求める気風と同時に、豊かになりつつあったフィンランド経済の中、多少の贅沢を求める気持ちが現れつつあった時代背景の中に生まれたようです。 設立時のメンバーとして、デザイナーとしてのアルヴァ・アールトと、その妻アイノ・アールト。資金面を支え、モダンアートに精通したマイレ・グリクセン。そして代表として経営を支えたニルス-グスタフ・ハーの4人によりアルテックは設立されました。 1936年当時のアルテック店舗なぜ、75年間、続くことが出来たのか? どうして、75年もの間、アールトの家具が支持され続けてきたのか? アイリンピエティ氏は、個人の意見として「どんな時代の流行にも左右されない、研ぎ澄まされたシンプルなデザイン」ということを強調されていました。またそれは「可能な限り標準化されたパーツの組み合わせによる家具」であることが、タイムリーな生産・供給に長い間対応できたからだと述べられていました。そのことは、有名なスツールに使用されているL-legで見られるように、同じ脚の部材で何種類かの椅子やテーブルをデザインしていることからもわかりました。 L-legによるスツール60フィンランド人にとって、アルテックとは? アールトデザインのアルテック家具は、フィンランド人の生活の中では学校や公共施設、また一般の家庭の中でも日常的に使われているように身近なものだそうです。 そしてフィンランド人の大半は、建築家アルヴァ・アールトを知っていますが、果たして、フィンランド人はアールトデザインのアルテック家具を見て、アールトのデザインであることを知っているのかという調査をしたことがあるようです。驚くべきことに、家具のことは知っていても約20パーセント程度の人しかアールトデザインであることを知らなかったようです。 アールト亡き、アルテック アールトが亡くなってからも、アルテックはアールトデザインの家具の販売を続けて行かなければなりません。しかし、それだけではアールト家具のミュージアムショップとなってしまうことに危機感を抱いていたようです。そこで、設立当時の基本理念に経ち返る必要があったのです。 アルテック創設時のマニフェスト アルテック創設時に、基本理念とメンバーの役割などが、大判の紙に殴り書きされたスウェーデン語のマニフェストの写真を紹介していただきました。 そこには、「モダンアート」「産業とインテリアデザイン」「プロパガンダ」という3つの理念があり、その3つをまとめる「新しい革新的な展示」という言葉でまとめあげられていました。また営業面についても、「グローバルな会社になりましょう」というフレーズがあり、これからスタートを切る4人のメンバーの勢いを感じ取ることができる写真でした。このマニフェストは、設立時からアルテックのオフィスの一角に貼られ、基本理念を忘れないようにしていたようです。 アルテック社の理念を示したマニフェスト現在のアルテック アールト亡き今、マニフェストの基本理念に経ち返り、「モダンアート」としてのアーティストとのコラボレーション展示。「産業とインテリアデザイン」としての異業種メーカーとのコラボレーションや、建築家やデザイナーとの新しい家具の発表。「プロパガンダ」としての、シンポジウムやパッケージデザインなど。これらを背景に、「新しい革新的な展示方法」でグローバルに挑む多くの写真を紹介していただきました。 ![]() 国外でのアルテック アルテック家具のほとんどはフィンランド国内で販売されていますが、国外で使用される場合はそれぞれアルテック家具に対するイメージが違うようです。 オーストラリアでは、ビーチハウスに似合う家具。イギリスでは様々な塗装を施し、ポップな雰囲気を演出する家具。アメリカやカナダは、あまり手を加えずおとなしい家具。日本はシンプルにバーチ材を使用するナチュラルな家具。と言うように私が想像したことも無いような他国での使用事例の写真を紹介していただきました。 レクチャーは40名満席でした以上の通り、アルテックについての歴史やエピソードをお話いただきましたが、実はアルテックを75年間支え続けたのはデザインの良さだけで無く、スタッフと家具製作を支えた工場によるところでもあると感じました。 これだけグローバルに知れ渡っているアルテックでありながら、社員は十数人。そのうち国外スタッフはアイリンピエティ氏を含め3人しかいないということ。また設立当時からアルテック家具を作り続けた、家族経営に近いコルホネン工場の存在を話の中で伺いました。 通常グローバル展開を目指すのであれば、国外スタッフを増やし流通量を増やすため生産拠点をコストの安い国に移すというビジネスプランを立てることでしょう。 しかし国産バーチ材を使用し、国内工場で生産し少数精鋭のアルテックを愛するスタッフでどうにかやって行こうという姿勢が、アルテックの75年を支えたのではないのかと感じました。 来場者には「artek x ENZO MARI」のDVDが配布された今回はアルテックのメンバーであるアイリンピエティ氏から、直接流暢な日本語でアルテックの歴史やエピソードを多くの写真と共にお聞きすることが出来たことにより、SADIメンバーからの質問も多く弾み楽しい会となりました。今まで見えなかったアルテックの一部を垣間見た思いで、ますますアルテックに興味が湧いてきました。ありがとうございました。 また会場を盛り上げるために、アルテック50周年のポスターや実物のL-legを準備していただいた塚田先生,ありがとうございました。 懇親会の様子 アンニさん,Kiitos!! (文:SADI会員 高橋正明)
by sadiinfo
| 2010-10-25 08:17
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